パピーウォーカー、いよいよ

d0366488_23065160.jpg
 

6月25日は私にとって特別な日だ。

1年前のこの日、メルが死んだ。
血管肉腫という進行性のがんで、
発症からわずか2週間だった。
熱のある潤んだ目をしながら、
最後の最後まで、
メルは口を開けて笑っていた。
息を吸おうとしてかなわず、
そのまま呼吸が止まった。

奇しくも出版記念憲法カフェは同じ日となった。
会のお手伝いをお願いした祈りの友の一人が、
心尽くしのサンドイッチと杏仁ゼリーに加え、
メルのために花を持ってきてくれた。
1年前と同じ姫ひまわりが入っている。
ひまわりの黄色、いいなぁ。気持ちが上向きになる。
彼女の優しさにほろり。

この1年間、現実にはメルはいないのだけど、
やっぱりいつもいるような気持ちで暮らしていた。
会いたくなると、
耳を触り、
長い鼻面をなで、
黒い鼻先をちょんとつつき、
ぎゅっと抱きしめる。
いえ、私の想像の中の話。
でも、私にはメルの感触がリアルに蘇る。
想像力はアン譲りだから得意なのだ。

憲法カフェの翌日、
日曜日の礼拝も終わり、
寛いだ気持ちでいたところに、
日本盲導犬協会から電話がきた。
やった、いよいよ。
パピーが委託される日が決まった。
メルの一周年の翌日に電話が来たことに、
神さまの粋なはからいを感じて口元が緩む。

パピーウォーカーの面接に行ったのは3月初旬。
実際に委託されるのは7月末なので、
計半年はかかることになる。
待機期間は思った以上に長い。
盲導犬協会が更新している子犬の成長記録のブログを見ては、
まだかな、いつかな、この子犬かな、
と妄想を膨らませてきた半年間だった。

それだけの期間があっても、
家の中を犬仕様にするのはようやくこれから。
まあ、そういうものだろう。
まずはゲージを置く場所を作り、
コード類の整理、
廊下には子犬の足を守るカーペットを敷かないと。

とはいえ、庭の整備だけは先に進めておいた。
日曜日に気がねなく子犬とみんなが触れ合えるようにと思い、
物置きと化していた牧師館の前の陰鬱なスペースに手を入れた。
低予算ながらプロの手を借りたので、
いまや、ちょっとした「ガーデン」だ。
水はけの悪い湿った土地なので、
理想通りとはいかないけれど、
ガーデンベンチを置いてもさまになるくらいには変わった。

憲法カフェのお手伝いをしてくれた別の友が、
この小さな「ガーデン」を見るや、
「うちのベンチを使わない ?」と閃いたように言う。
もとは花屋で飾られていた素敵なベンチがあるという。
わ、嬉しいなぁ。
予算がないから、ホームセンターの縁台で我慢しようかしら、
などと思っていたところだったから。

ひとつひとつ、
準備をしていく中で、
また新しいことが始まっていく。
子犬を楽しみにしてくれている人たちも多くいて、
これからそんな人たちと過ごしていく時間を思うと、
これまた楽しくなる。

一緒に暮らすのはたったの10か月間ほど。
別れがわかっているのは辛すぎない ?
とよく聞かれる。
不思議なことに、私にはそういう発想がない。
パピーウォーカーの場合、
死別ではないのだし、役に立つならば、
などと今のところは答えている。
実際には、別れを前にして、
涙にくれるかもしれない。
でも、始める前から別れのことを考えていたら、
一歩も進めないものね。

メルとは別のポケットがひとつ増える、というわけだ。
[PR]
by puppy_Benji | 2016-07-01 22:36 | パピーウォーカー