目白を歩く「中村彝アトリエ記念館」

d0366488_23054090.jpg

目白にある中村彝(なかむらつね)のアトリエ記念館。まちづくりの一環として、再生保存され、一般公開されています。アトリエ部分は、ほとんど建設当時そのままだとか。中村彝アトリエ記念館



今年もブログから遠のいての幕開け。
とはいえ、暮らしはどんどん進んでいく。
気づいてみれば、世の中はチョコレートだらけだ。

1月、新しいことといえば、転校をした。

昨年からカウンセリングを学び直している。
転校といっても、時間の関係で池袋の教室から目白に移っただけのこと。
それでも、目白というまちが妙に肌に合い、
今年最初の嬉しい出会いのひとつとなっている。
歩いているだけで不思議なほど元気が出てくる。
そうして、週に一度、目白に行くことが、暮らしのリズムを整えてくれる。

池袋は、学生時代を過ごしたまちだ。
道のつくりや、公園のサイズ感だとか、
細かいところまで、それなりによく知っている。
なのに、今だにどうしても親近感を持てずにいる。
最大の原因はきっと、あのだだっ広いターミナル駅のせいだと思う。
東西二つの巨大な百貨店が脇をかため、地下商店街が複雑に入り組み、
どこを向いても、店、店、そして人。
ぼんやりすることを許してくれないような人口密度。
私は池袋の駅構内を歩くと、小さい箱に無理やり詰め込まれたミツバチさながら、
ぶんぶんうなりたくなる。

池袋から目白までは徒歩でも行ける。
学生時代、ケーキ屋なるものや学習院大学に誘われて遊びに行ったこともあるまちだ。
でも、「通う」のは初めてなので、少しずつまちを知っていく楽しさがある。
駅はこじんまりしている。
ところが、降り立ってみると、目白通りは広々と横に伸び、開放感に溢れている。
学習院大学のおかげか、緑も豊かだ。
古くからの個人店がいい味を出す。しゃれたケーキ屋、カフェ。
個性的な歴史ある建物。
教会だって駅の近くに3つもあるという贅沢さ (私にとっては)。

そうそう、と思い出したのは、子ども時代を過ごした神戸の岡本界隈のこと。
もちろん神戸のように背景に山は見えないし、岡本はもっとずっと小さい駅なのに、
どこかしら似ているような。なんだろう ?

あ。坂道。目白通りと交差する細い道の多くが、坂道になっている。

朝、教室への行きは、坂道を横目に、
ひたすら目白通りを足早に通り抜けて目的地に向かう。
学びを終えてゆったりとした気持ちになってから、帰りは、少々遠回りをして散歩。
坂道を歩いてみたり、建物を眺めてみたり、古本屋や絵本屋に立ち寄ったり。
私の好きな近代西洋建築がいくつかあるので、
時間を見つけて、ひとつひとつ訪ねてみたいと思っている。

神戸っぼい (と勝手に思っている )空気を吸った後、
電車に乗って30分もすれば、自分が暮らすまちに戻ってくる。
墨田区の中でも、ひときわ昭和感漂う地域だ。
駅前から続く通りは、「酎ハイ通り」との異名を持つという話も。
そして、東京スカイツリーラインの鐘ケ淵駅に降り立った瞬間、
ああ、東京とは広いのだ、と毎回思うのでした。

d0366488_23054144.jpg

このアトリエで描いたのは、多くの自画像や静物画。肺結核で37歳で夭折した画家は、17歳からずっと病と闘ってきたそうです。新宿の中村屋が、アーティストたちの支援を熱心にしていた頃に見出された若き才能。この記念館に展示された絵は、精密な印刷物なので、実物はそれぞれの美術館に収蔵されているようです。カルピスのある静物画に見え覚えがあると思ったら、昨年、茨城県近代美術館で見たものでした。メルが死んだその週、悲しみを抱えながらも、何かに押し出されるかのように夫と一緒にベン・シャーン展を見にいったとき、その絵に出会いました。絵の中の静かな空気感が、そのときの私の心に触れるものがあったので記憶していました。

d0366488_23054107.jpg


d0366488_23054163.jpg

東京に雪が降った日の翌日。庭にはまだ残雪が。

d0366488_23054234.jpg

庭に出入りする入り口もかわいらしい。絵本の『小さなおうち』を彷彿とさせるかな。

d0366488_23054286.jpg

絵の具の跡があちこちに。記念館では、中村彝の人生の軌跡を15分ほどの映像で知ることができます。「このころ、仲間の洋画家・野田の影響を受けて、キリスト教の洗礼を受け」と、ナレーターがさらりと流しました。あ、そうなんだ、と思いましたが、そのような痕跡は作品に見えなかったので、少しだけ調べてみたところ、聖書はよく読んでいたようですが、どうしてもキリストに出会うことができなかったようなことが書いてありました。でも、実際にはどうなのか、本人にしかわかりませんよね。出会えていることを願いつつ。

d0366488_23054307.jpg

アトリエを後にして、目白駅に向かう途中、路上にこんなサインがありました。次の目白では、天気が良ければ、佐伯祐三のアトリエに立ち寄ってみたいと思っています。

[PR]
by puppy_Benji | 2016-01-24 19:19 | 建築